食の安全への問題意識は2008年に発覚した中国での冷凍餃子事件以降急速に高まってきており、 食品工場のリスク管理は社運を左右するレベルまでに至っていることと思います。
食品・飲料工場で使用する水への安全意識は昨今急速に高まっており、水の供給源として、 水道水は水質が保証されておりますが価格が割高なので使われる量は少ないと思います。 従って食品・飲料工場で多量に水を使用する場合は、原水を工業用水や地下水や河川表流水を利用しますが、工業用水の原水は、河川水が主であり排水や農薬などの有害物質による水質汚染の危険性も年々高まっております。
最近では2012年5月に利根川水系からホルムアルデヒド(がん要因物質)が検出され、 取水停止措置により87万人が断水の影響を受けた事例もあります。 また、各工場様が独自に地下水、河川水、ダム水、湖水などを使用しているケースもありますが、これらの水の汚染もゴルフ場・果実園・茶畑等で長期間多量の農薬散布が原因で汚染されていることが多いと言われております。
また、電気機器製造工場やIC工場跡地の地下水汚染も深刻なレベルになっている地下水の汚染状況を環境省は「環境基準超過井戸調査表」公表しております。 この調査結果を見る限り地下水汚染は全国に広がり深刻な状況になりつつあります。
参考:環境省「水・土壌・地盤・海洋環境の保全」のページ(外部サイト)
食品・飲料工場で使用される水の検査は、多くの場合水道法に基づく水質基準に関する省令51品目を 年に数回のサンプリング検査を保健所に提出するだけで、 連続水を使用することが行えます。
この様なことにより、不測の事態が発生しても工場の生産部門は水質汚染の発見が大幅に遅れ、被害が甚大になる危険性があります。 またサンプリング検査の弱点は未知の毒物や複合毒物では検出ができないことであります。
アメリカの食品工場は、食品医薬品局FDA(Food and Drug Administration)が管理しており、食品工場で使用する水の安全は水生生物を使ったバイオアッセイ法(米国 WET規格)が詳細に基準化されております。
そのバイオアッセイとは魚類を使った毒物検査法であり、試薬を用いる化学分析法に比べて、 未知の毒物や複合毒物の検出も可能であり、連続水の監視では最適な検査方法といえます。この検査方法を連続的に且つ自動で行う機器こそ水質自動監視装置なのです。
それらのことを踏まえ弊社は水道施設で数多く導入しました、水質自動監視装置を民間企業様向けに開発しました。コンパクトな造りハイコストパフォーマンスで次世代の水質管理にて食の安心・安全にお役に立てれば幸いと考えております。
代表取締役 山本 隆洋
概要
本装置は、毒物などに対し反応度が敏感とされる小型魚類ヒメダカを活用して、24時間体制で連続的に水質の監視を自動的に行う装置です。1分間に約1.5リットルの原水を流入させ、約20匹のヒメダカの挙動を画像解析しながら水質を監視します。
ヒメダカの動きが鈍ったり、死に至るなどの異常が発生した場合は、段階的に自動発報
します。
特長
- 24時間連続自動の無人監視ができます。
- 毒物などに対する反応が高感度のヒメダカを使用しています。
- 独自の画像解析技術と、大学で開発されたオリジナル技術により誤警報が非常に少ないのも特長です。
- 超小型のシンプル構造で操作も簡単です。
- 盤面ランプ表示で水質異常が判断できます。
- 低価格・高性能でシンプルな構造なので、日々のメンテナンスも容易です。
標準仕様
製品名 | 水質自動監視装置「バイオアッセイミニ」 |
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型名 | NBA-1U型 |
型式 | 屋外壁掛型 |
寸法 | 700(W) × 830(H) × 300(D) |
重量 | 約60kg |
電源電圧 | AC100V |
消費電力 | 500W以下 |
使用周囲温度 | 0~40℃(結露なきこと) |
監視魚 | ヒメダカ |
原水入水量 | 0.6~0.8リットル/分 |
原水透過性 | 飼育水槽のヒメダカを容易に目視確認できること |
原水温度 | 10~30℃ |
配線口 | 33φ×1 |
配管口 | 給水口:ソケット止め 排水口:ソケット止め ドレン口:13ソケット止め オーバーフロー:20ソケット止め |
外部出力 | 映像出力:1点(NTSC 1Vp-p) 警報出力:2点(無電圧A接点) ブレーカトリップ出力:1点 |
機器構成
漏電ブレーカー×1 | 主電源:2P 15A30mA |
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モニターテレビ×1 | 7インチ液晶モニター |
画像処理装置×1 | MAX-4 |
表示ランプ×2 | 運転中(緑ランプ)点灯 異常(赤ランプ)点灯 |
電子部品×1式 | リレータイマー他 |
CCDカラーカメラ×1 | 1/3インチ41万画素以上 |
蛍光灯×1 | 6W蛍光管 |
自動給餌装置×1 | 給餌回数1回/日(最大5回) |
換気ファン×2 | |
監視水槽×1 | 310(W)×1250(H)×210(D) |
水中ポンプ×1 | 水循環用 |
エアレーション×1式 | エアーポンプ、ホース、ストーン |
捕獲ネット×1 | 誤検知防止用 |
ヒメダカ×15 | 成魚、体長2cm以上 |
加温器×1 | 200Wヒーター×2個 サーモスタット×1個 |
付属品×1式 | アミ、えさ 各1 |
システム構成図
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水槽のヒメダカをCCDカメラにて撮影し、その映像を画像処理装置に送り出し
ます。 -
画像処理装置に取り込んだ映像をデジタル処理し、水槽画面に縦7×横8の計56個のブロックを重畳します。
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1ブロックには64個の感知センサドットが配置されメダカの詳細な動きをドットが感知してブロックをカウントします。
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設定したブロック数と設定タイマー内でブロックがカウントされない時は水質異常と判断し警報になります。
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水質が正常なときは盤面の緑色のランプが点灯していています。。
水質が異常のときは盤面の赤色のランプが点灯します。
システムフロー
電源を投入しますと右図に示す通り、各機器が起動または スタンバイ状態になり、所定の条件をクリアすれば監視状態 になります。
監視フロー
監視がスタートすると監視タイマーが起動します。
画像処理装置はカメラの映像を約1秒間隔で解析を繰り返します。
タイマーがUPするまでの間にヒメダカの動きを検知できれば、タイマーリセット~再計時、タイムアップするまでに検知できなければ警報となります。
外形図
各部の名称

出力
・警報出力....1点(無電圧A接点出力)
名称 | 出力条件 | 復帰条件 |
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水質異常 | 設定時間内ブロック検知無し | 監視スイッチをOFFにし、再投入で復帰。 |
・ブレーカトリップ出力....1点
・NTSC・・・・・1点(BNC)